The Sleeping Beauty ? |
あるところにとても仲の良い王と王妃がおりました。 名前はナルトとイルカ。 <なあなあイルカ兄ちゃん……オレってば王様役?王妃様役?> <王様役だそうだ……ということは、オレがナルトの子としてを生んだということになるのか……う、複雑な心境だ……> 幸せな結婚生活が続き、二人の間にはそれはそれは可愛い王子生まれました。 二人は大いに喜んで、二人はその王子にという名をつけて国中の客を招待しパーティーを行いました。 もちろんそのパーティーには、国の中でもとても力の強い魔法使いたちも呼ばれています。 「王様、王妃様、おめでとうございます。えーと、なになに……?二人のお子様が美しく育つように魔法をかけますね……ってこれでいいのか?」 魔法使いの中でも一番の碁打ちのヒカルがいいました。 <魔法使いって碁を打つのか……?> 「あー、オメデトウ、よかったですねー。面倒だけど、一応健やかに育つように魔法をかけましょうかねー」 とやる気がなさそうに一番呪力の強い魔法使いであるカカシも言いました。 「……」 魔法使いの中でも一番無口な葵が聡明な知能を持ち合わせるように魔法をかけると、無言でお花を渡します。 そんな感じで滞りなくご挨拶の儀式が進み、魔法使いの中でも一二を争う毒舌家である11番目の魔法使い翼がご挨拶をし終わり残りが一人になった時、魔法使いたちはある事実に気がつきました。 <オイ。俺たちも一応魔法使いなんだよNa?なんでこんなに出番が少ないんDaよ!> <なんだ……。僕たちの出番はこれだけなのかい?> 「……オイ、一人足りなくねーか?」 魔法使いの一人、天国がそういいます。 「あ……そういえば……誰かが足りないにゃ!」 別の魔法使い英二も頷きました。 「その通り……よくもこの俺様ことをコケにしてくれたなぁ、糞バカども……!!」 と、突然パーティー会場にどす黒いオーラを放った13番目の魔法使いヒル魔が現れました。 「わっ!最近出てきたばっかりの新連載だから呼ぶの忘れたってばよ!」 王様の口から思わず本音が漏れます。 「ああ?!なんか言ったか?この糞チビ!!」 ヒル魔は額に血管を浮き上がらせて王様に詰め寄ります。 「ぎゃー!だって本当のことだってば!」 「わーっ!ナルト!そんな正直なこと言っちゃ駄目だっ!」 王妃様の静止もむなしく、王様はつい口を滑らせてヒル魔の前で本当のことを言ってしまいました。 「ぎゃー、しまったってばよ!」 後悔先に立たず、王様は口を抑えますが時既に遅く、ヒル魔のオーラはますます黒くなっていきます。 「い―――――――度胸してるなぁ、この糞バカ共……?」 ヒル魔はそう言うとどこからとも無く妖しげな杖を取り出しました。 「ここの国の王子だか王女だかが生まれたのか知らねぇがな、この俺様のいないパーティーなど存在しねぇって事を教えてやるぜ!Ya―――Ha―――!!」 ヒル魔はそう言うと、その無駄に整った顔に不気味な笑顔を張り付かせてみなに凄みました。 「おまけに新連載だって?そういうおめぇらはその新連載の漫画に人気投票抜かれてるじゃねぇか!ああん?」 ヒル魔は細かいことも忘れてはいません。 <ぎゃー、相当根に持ってんぞ!あいつ!> <おい猿野!お前の怪力であいつを何とかしろYo!> <できるわけねぇだろ!お前が何とかしろよキザ虎!> 「うるせぇぞ!!スルメヤロー共!!」 内緒話をする二人にヒル魔の駄目出しが飛びます。 「いいか?俺様を怒らせるとどうなるかって事を身を持って教えてやるぜ……俺様からのプレゼントはこれだぜ! Ya―――Ha―――!!」 そういってヒル魔はベッドの上で事の成り行きを不思議そうに見守っていたの上で、杖を一振りしました。 「てめぇは16歳の誕生日の日に糸車の針に刺さって死ぬ運命にしてやるよ……俺様にをコケにした罪、死を持って詫びろ!!ぶっ・こ・ろす!」 <ギャー、なんか怖いこと言ってますよ〜〜?!> <おい、長太郎!スカッド打てっ!> <無茶言わないで下さいよ!宍戸先輩っ!> 「危ない!」 魔法使いの中で一番年少でまだお祝いの言葉とプレゼントを渡していなかったセナは、ヒル魔のしようとした事が解ったのかとっさに呪文を唱えました。 「え〜〜〜と、え〜〜〜と、死ぬんじゃなくて100年間眠るだけになれ〜〜〜!」 <っていうかこの場合分からないほうがおかしいと思うなー> <そういうこと言わないでくださいっ!カカシさん!> セナのお陰で、は間一髪命を落とすことは免れたようです。 「……ちっ、糞チビに邪魔されたか……まあいい。俺様の術がそう簡単に解かれるわけが無えからな!」 見れば、はベッドの上でスヤスヤと可愛い寝息を立てています。 <か……可愛いぞ !!! ////> <可愛すぎるよ、君…… ////> 「っていうか、出番以外の人が話しに加わらないでくれる?邪魔なの、邪魔!」 「うるせえぞスルメヤロー共!……ククク、そういうわけで16歳の誕生日を心待ちにするといいゼ!おう、そうそう今度新連載なんて言ったら、ここにいる全員の息の根を止めてやるから覚悟しやがれよ!」 そういって無気味な笑いを残して、ヒル魔は去りました。 さてさて、大慌ては王と王妃です。 「大変だってばよ〜、兄ちゃんが死んじゃうってばよ〜」 「確かに……あの魔法使いの言うとおり死ぬことは無いとしても、100年間も眠るとなれば死ぬのも同然のことじゃないか!?」 王と王妃はパーティー会場をうろうろと歩き回ります。 「そうだ、いいこと考えたってばよ!」 「どうした?何か思いついたのか?」 「国中の糸車を全部燃やしちまうってばよ!」 王のその一言によって、翌日には国中の糸車が燃やされ、以後糸車を作ることは国中で禁止されてしまいました。 「これで安心だってばよ。無い糸車では死ねないって!」 それから16年後……王子のお誕生日です。 は、あれからすくすくと過ごし、とても綺麗な少年に育ちました。 また、彼は聡明で元気がよく、少々鈍いところを除けばほぼ完璧で、国中の若者が彼を振り返ります。 「ねぇねぇお父様、お母様、なんで俺は男なのに姫の格好をさせられてるんだ?」 は不服そうにドレスの裾を摘みます。 「これ、すごく動きにくいんだけど」 「しょうがないってばよ、兄ちゃんを守るためだってばよ!」 <兄ちゃんじゃ駄目だよ、ナルト> <つい言っちゃうってばよ!> 「……悪い魔法使いがもしお前を殺しにきたとき、お前があのときの王子だと気がつかせないためにそうしてるんだ、我慢をしてくれ」 王妃は済まなさそうに王子に言います。 「だからって……う、解ったよ、二人ともそんな顔しないで」 は泣きそうな二人にそういうと、微かに溜息をつきました。 「俺、ちゃんと着てるから。じゃあもう行くね」 はそう言って両親に礼をすると、いつもの休憩場所に向かって足を進めました。 一国の王女(……本当は王子ですが)ともなれば、何をしていても常に人に見られている状態で、とても神経が疲れます。 そんな時、王子は立ち入り禁止となったとある塔の最上階の部屋で休息をするのが日課になっておりました。 特に最近は臣下も両親も神経を尖らせていて、余計に気疲れしてしまいます。 「は〜、なんだって最近はこんなにピリピリしてるんだろ」 王子はいつもの部屋にこもると、溜息をつきました。 そのときです。 ふと、王子の視界に今まで見たことのないものが写りました。 「あれ……こんなものここにあったっけ?なんだろ、これ」 王子は好奇心からそれに近づきました。 「へぇ、変わった形。どうやって動かすんだろ?」 王子は両親から「糸車」に触れないようにきつく言われておりましたが、今まで糸車を見たことがないので、いま触れている機械が糸車であることを解りませんでした。 「えーっと、こうかな……? ――っ痛!」 王子の指が糸車に触れたとたん、突然ちくりとした痛みが襲い王子はその場にバタリと倒れてしまいました。 当然、この糸車はあの魔法使いヒル魔の仕掛けたものだったのです。 夜になっても自室に戻らない王子を心配して、王は城中のものに王子の探索を命令しました。 何時間も城中を探し回り、数時間後にやっと臣下の一人が例の塔で倒れている王子を発見しました。 「ああ、何てことだ……!」 「うわーん、死んじゃ嫌だってばよ〜!」 王と王妃はベットの上でピクリとも動かない王子を見て深く嘆き悲しみました。 あまりにその嘆きが大きかったために、王子の誕生祝の時にを救った魔法使いセナが現れました。 「王、王妃、心配なさらないでください。様は100年の眠りにつくだけです」 「しかし、その頃には我々は誰一人として生きてはいないだろう。ああ、不憫だ……」 「可愛そうだってばよ〜!」 セナの言葉にも、王と王妃は落胆の色を隠せません。 「ではこうしましょう。僕がこのお城中の皆にも100年間の眠りの魔法をかけます。そして城中うに蔦を生やし、侵入者を防いで100年後に様が目覚めるまでこのお城を守ります」 「そ、そんなことができるのか?」 「はい」 セナはその可愛らしい顔を微妙にオドオドとさせながら頷く。 「100年後に、運命の王子が現れて様を起こした時、皆様の魔法も解けることでしょう」 そう言ってセナは杖を振るった。 「100年間の眠りにつけ〜えいっ!」 100年後、煌びやかな衣装を身に纏ったいかにも王子らしき目元に泣き黒子のある人物が、白馬にまたがって王子の城を見上げていました。 「ふふふ……が……俺のが俺を待ってあの中で可愛い寝顔を見せている……」 王子はまるで悦に入ったように独り言を繰り返しています。 「そこをどいてくれないかな、変態さん」 と、その横をこれまたいかにも王子らしい気品のある格好をした両手に手袋をしっかりとはめた人物が、笑顔で暴言を吐きながら通りかかりました。 「なっ……!誰が変態だ!無礼ものめ!」 「それはこちらの台詞だよ、変態王子。君のことは僕に任せて君はさっさと自分の国へ帰りたまえ」 なにやら不穏な空気です。 こんなことをしていては王子の呪いはいつまでたっても解けません。 「何だと!貴様も目当てか!剣を抜け!」 そう言って変態王子は腰からラケットを抜きました。 「望むところだよ」 暴言王子もそれに応じ、腰からバットを抜きました。 「いい機会だ、この機会に貴様を消してやる!」 「それはこちらの台詞だよ」 なにやら劇も忘れて素に戻っているようですが、彼らの戦いは激しく、勝負は一昼夜に渡って続きました。 そのころ……。 「――まったく、凄い蔦だな……」 いかにも騎士といった風情ですが、とても厳しい眼光を湛えた人物が城の入り口で蔦と格闘をしておりました。 騎士風の男は地味ですが品のいい洋服を着ていますし、マント留めには金の王族のレリーフが施されています。 「ふむ……、本当にここでいいのだな……人助けのためとはいえ、大変なことだ」 彼は額の汗をぬぐうと、入り口に向き直った。 そう、彼はこう見えても正真正銘の王子様だったのです。 なんと王子は民衆の勧めで、噂の隣国の姫<?!>を助けるべく旅をしてきたのでした。 本当は、王子は他の国の二人の王子も姫を狙っていると知って辞退するつもりでいたのですが、民衆は隣国の王子たちに負けるなとばかりにあまりにも熱烈に「人助けですよ!それにトレーニングも兼ねて!!」っと王子を煽るものですから、仕方が無いと仕方なくやってきていたのです。 <もちろんさっきの二人の王子がその隣国の王子であることは間違いありません。> しかし、まさか自分が一番乗りだとは……。 「さて……誰いるのか?」 王子はその低くて渋い声を城内に響かせると軽く溜息をついた。 「仕方が無いな……少々失礼する」 不思議なことにあれだけあった蔦が、王子が通路を通ろうとすると自然に道を空けはじめました。 「……珍しいこともあるな」 王子は一城の中に足を踏み入れると、その100年前の王宮が、当時と変わらない様相をしているのに僅かに驚き感心をしました。 みな、それぞれの仕事の途中で倒れ、その場に眠りこけています。 王子はそんな城の様相を眺めながら、蔦の引いていく方にどんどん進んでいきました。 「……これは……」 しばらく歩を進めていくと、不意に王子の目の前に一際美しいつくりの部屋が現れました。 きっとこれが例の姫の部屋なのでしょう。 「ふむ……すまないが……邪魔をするぞ」 王子は僅かに心臓を高鳴らせながら扉を開けます。 扉の向こうには美しい天蓋のついたベッドがありました。 「………」 王子は一瞬立ち止まると、大またでゆっくりとベッドへと近づいて天蓋の中を覗きこみました。 「……… !! 」 王子はの姿を見たとたん、まるで石のように固まってしまいました。 があの日から100年経った今でも、あの頃とまったく同じ美しい姿をして静かに寝息をたてていたからです。 その姿があまりにも愛らしくて、王子は息をするのも忘れてに見入っておりました。 「……はっ、俺は……」 しばらく呆けたように寝顔に見入っていた王子ですが、突然我に返ったように頭を振りました。 「……しかし、どうしたらいいものか……」 王子は次に沸いた疑問に、頭を悩ませました。 <お姫様を起こす方法っていったら一つしか無いじゃないか!> <……!桜庭!?なんと言うことをいうんだ、お前は! > 王子はふと頭に沸いた解決法に、急激に頬を赤らめました。 「……!!」 <相変わらず進はお堅いなぁ> <堅いとか堅くないとか、そういう問題では……だいたいこういう役はお前の方が向いているだろう?!> <意外性で決まったんじゃないか。決まったことに文句いうなんてお前らしくも無い> <ぐっ……> 王子はベッドの周りをうろうろと歩きながら悩みました。 しかし、その度に出発前に言われた臣下の「人助けのためですよっ!王子」っと言う声が頭の中を駆け巡ります。 「ひ……人助け……そう、いや、しかし…… 」 王子は意を決したようにの顔を覗き込みました。 胸の上で組まれた手が、息をするたびに微かに揺れています。 白い肌に、僅かに上気して赤く染まった頬、やわらかそうな唇……。 <く……! > 王子は邪な考えを振り払うかのように頭を振ると、再びの顔を覗き込みます。 100年間開くことがなかった瞳。 ふとそんなことが王子の頭を頭をよぎりました。 純粋に、この人の目が見てみたい、笑顔が見てみたい……。 王子は自然にの頬に手を触れました。 心臓の音が聞こえそうなのが自分でも解ります。 しかし、それでも王子はゆっくりと、静かに自分の唇をの唇に寄せました。 ふわり、との唇のやわらかさと暖かさが自分の唇に伝わります。 <〜〜〜〜〜〜!> 軽く音を立てるようにして王子が唇を離すと、僅かにが身じろぎをしました。 そして一瞬の後にその瞳がゆっくりと開きます。 「……気が付いたか……」 王子はしっかりとの手を握ると、その顰めていた眉を僅かに緩めてそういいます。 「へ……?ふわぁ〜〜あれ、君は誰?」 は半身を起こすと、王子を見つめます。 「俺は……隣国の王子の進 清十郎だ……」 「君が俺を起こしてくれたの?」 「まぁ、一応そういうことになるが…… 」 「そっかぁ……俺結局100年も寝てたんだね。ありがとうセージ!」 にっこりとは微笑みます。 「いや……別に……」 「なに?」 「……もしよければ……我が城へと来るか?」 天変地異の前触れかと思うほどに珍しく、顔を真っ赤にしながら王子はそう呟きました。 「もしかして、それってプロポーズ?」 「………」 「うん、いいよ!セージっていい奴みたいだし、俺も好きになれそうだ」 「……そうか」 王子は無言でを抱き上げました。 <劇の上での言葉とは言え、本気で恥ずかしいぞ、俺はっ! > その頃…… 未だに熾烈な<卑劣なとも言う>争いが続く二人の王子の様子はというと……。 「はぁ、はぁ……さっさとくたばれ!」 「それはそっちだ!変態王子!」 その横を幸せそうなバカップルが白馬に二人乗りをして通ったことを知らなかったようです。 おしまい☆ |
なんとお相手は進でしたね(笑)。 何でってそれは進が涼澤が今一番好きなキャラだからです〜(笑)。 でも、元々は進じゃなくて子津君が出張ってました(笑)。 ヒル魔の所も元々はルックだったし……(笑)。 昔のファイルから発掘した物なので、微妙に修正を加えてみました。 よろしければご感想などいただけると嬉しいです〜。 |
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