恋のルールはサバイバル

――ボク、はただ今戦いの真っ最中!
それは何かって?
ボクの大好きなあの人に近づく為!
恋は戦い!
恋の為ならボクは戦士にでもなるぞ!

「あ、、何勉強してるっちゃ?」
「わっ!猪里先輩!えーとですね、今はルールのお勉強です」
そう、ボクが大好きな彼は野球部員なのです。
やっぱり十二支高校報道部員としては、野球のルールくらい知っておくべきでしょう!
え?野球部に好きな人がいるなら、どうして野球部に入るとか、マネージャーにならないかって?
自慢じゃないけど、ボクは球技は物凄く下手なんだよな……。
それに野球部のマネージャーって以外とメンバーとお話する機会ないだろ?
尚且つ、報道部なら憧れの選手とマンツーマンで取材が出来て、しかも部費で写真をとり放題じゃないか!
しかも、部員とマネージャーってありきたり過ぎのシチュエーションだよなぁ。
「勉強熱心っちゃね」
猪里先輩はそう言って微笑みながら、さりげなく肩に手を回す。
「えーと、ちょうど良かった、お聞きしたいことがあったんですけど……」
「ん?なんだっちゃ?」
「あのー、ゴールラインってどこにあるんですか??」
「へっ!?」
あれ?ボク何か変なこと聞いたかな?猪里先輩が固まってる……。
「Hahahaha!相変わらずは可愛いNa!」
固まっている猪里先輩の横から、顔に派手なペイントをしている虎鉄先輩が口をはさんだ。
「あ!虎鉄先輩。ボク何か変なこと聞きましたか?」
ボクがそう聞くと、先輩は笑ってボクの手の中の本を指差した。
「そのルールブックはサッカー用だZe!」
「へ?」
確かによくみれば表紙にデカデカと「サッカー」の文字が。
うわ、ボクまたやっちゃった!?
「恥ずかしがることはないZe!そうだ、よければ今度俺が二人っきりで手取り足取りルールを教えてやろうKa?」
へえ虎鉄先輩って意外と優しいんだ……。
「え?本当ですか?」
「駄目なのだ!こいつと二人きりになったら、その瞬間に妊娠してしまうのだ!は好きでもないやつとの子供が欲しいのか?」
不意に背後から独特の口調で鹿目先輩が現れる。
「へ?……っていうか、ボク男なんですけど……」
そりゃ、虎鉄先輩ならそれくらいの事ありえそうだけどさ……。
「なっ!?そんなわけないじゃないKa!」
虎鉄先輩が必死で弁解をしようとしているが、鹿目先輩は聞く耳もたない。
「とにかくやめておくのだ。ルールはボクが教えてやるのだ!」
「じゃあお願いしようかな〜」
ボクが頷きかけた瞬間、背後から再びにぎやかな声で鹿目先輩の声を遮られる。
「あ、猿野じゃん」
「おいっ!騙されるな!ほっぺ先輩は嘘をついているぞ!」
「え?」
え?え?嘘って、妊娠のことか?別のことか?
「嘘なんかついていないのだ!邪魔なのだ!猿は向こうに行ってるのだ!」
「驚くなよ?ほっぺ先輩はな、嘘をつくと鼻が伸びるんだ!」
猿野はそういって自信満々に胸を張った。
え〜?本当に?!
ボクはまじまじと鹿目先輩の鼻を眺める。
「なっ!騙されちゃ駄目間のだ!伸びるわけないのだ!」
「そういえば……少し鼻が伸びたような……」
「そう言ったろ!なぁ、ルールが知りたいなら、この天才天国様にお願いするといい!」
そう猿野が高らかに笑うと、間髪をいれず犬飼の突っ込みが入る。
「バカ猿……てめーもまだルール覚えてないだろうが」
「あ、ジュノンボーイ」
「ジュノンボーイっていうな!/////」
犬飼は真っ赤になって抗議をする。
ああ、そんな風に照れられたらもっと抗議してやりたくなっちゃう……。
「なぁ犬飼、マジで今度何かに投稿してみたら?」
「そうですよ、犬飼君。面白そうじゃありませんか。……ところで君?ルールのことでお悩みのようですが、よければこの辰羅川がお教えいたしてもよろしいのですよ?」
そう言って辰羅川はいつもの調子で眼鏡を上げながら、そう提案する。
「辰っ!てめー抜け駆けかよ!」
「おや、犬飼君は恋愛が苦手なんではありませんでしたか?」
「うるさい!苦手だが嫌いってわけじゃねぇよ!」
うわ、なんだか喧嘩が始まってしまいそうだな……。
いつも中のいい辰羅川と犬飼らしくもないなぁ。
「とにかくっ!ルールなら俺が教えてやる!」
「駄ぁ目だよっ!クンと勉強するのはボクだもんね〜♪」
「あ、兎丸」
言い争う犬飼と辰羅川の間をスルリと擦り抜けて、兎丸が踊り出る。
「ねー、いいでしょ?一緒に勉強しよ♪」
勉強?!あれ?なんだかちょっと趣旨が変わってるぞ?
「………」
見れば、その後ろから司馬も顔を赤くして頷いている。
兎丸を追いかけてきたからかな?
「あー、シバ君!今回はボクがクンと二人で勉強するからきちゃ駄目!」
「……?!」
駄目、といわれて司馬は物凄――――く悲しそうな顔をして項垂れた。
うーん、可愛そうかも……。
「あ、あの……」
「……?」
声を掛けられて振り返ると、そこには苦笑気味の子津が立っていた。
「いつもながら大変っスね」
「本当、みんな元気だよなぁ〜」
「で、あの……もしよければ僕がルール教えるっスよ?」
そうだなぁ、子津だったら確かに根気良く教えてくれそうだけど……。
「ははは、みんな君を困らせては駄目じゃないか」
「あ、キャプテン!」
「やぁ、今日も野球の勉強かい?君も野球LOVEになってくれたら嬉しいな!所で、その一環として僕が君にルールを教えるというのはどうだろう?」
そう言ってキャプテンは笑顔でボクの手を握る。
うーん、本当に野球をなにより愛しているんだなぁ。
「でも、キャプテン自らがボクなんかに勉強を教えて、練習に差し障りませんか?」
「「「「そうですよ〜キャプテン」」」」
一同から賛同され、牛尾先輩は一瞬たじろいだが、すぐさま笑顔で言葉を返す。
「あははは、みんなこの僕がいないだけで練習に身が入らなくなってしまうのかい?」
「ぐっ……」
さすがキャプテン、一発で黙らせてしまった。
「……其処に溜まられる方がよっぽど練習に差障る也……」
溜息と共に突然声がかかり、一同は弾かれた様に声のする方を振り返った。
あ……あれはもしかして……。
そうだ、間違いない……あのお方は……!
「あ、……?どうしたのだ?」
「だ、大丈夫っスか?」
「どうかしたのかい?」
「へ……蛇神先輩っ!!!!」
「「「「?!」」」」
そうだよ、あの人だっ!
ボクの理想の王子様っ!
「ベンツ乗り回して英会話が達者でお笑いの人みたいに面白くて外資系の会社に勤めてて、走り高飛びを空中浮遊で飛ぶボクの王子様、蛇神先輩〜〜〜っ!!!」
「「「「「何〜〜〜〜っ?!」」」」」
なんだか皆が放心してるみたいだけど、この際気にしてることはないな。
「……、か」
今だっ!今しかないっ!言っちゃうんだっ!ファイトっ!
「あ、あの……蛇神先輩……ボクに……野球と恋のルールを教えてくださいっ!」
「……我で良ければ相手仕る也」
嘘……?!OKしてくれた!?
「へ蛇神先輩っ!一生ついていきますっ!!」
「一生離さぬ也」
ボクが蛇神先輩に抱きつくと、蛇神先輩も少し笑って抱き返してくれた。
「ぐわ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!?」
「ぎゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
「嘘だろ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?」
「マジかYo〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?」
「うわ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!」


次の日から、ボクはずっと蛇神先輩のお傍を離れませんでした♪

*後書き*

何を隠そう、これは夜桜水月ちゃんへサイト開設祝いに贈りつけた作品です(笑)。
なので、実は元はノーマルドリームでした〜。
何度も見直しましたが、もしかしたら主人公の女性口調が直っていない箇所があるかもしれません。
もし見つけられましたら、ご一報をお願いします(汗)。
女性ヴァージョンをご覧になりたい方は水月下記ののサイトまで足を運んでみてください。
水月ちゃんの素敵絵やドリームも堪能できますよ♪


「月と日と星の三重奏」 へはこちら 

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