拍手お礼夢 お相手:ディーノ 〜クリスマス限定Ver.

ざわめく街角、きらきらと煌くネオン、人ごみを中を忙しなくかけぬける。
微かに聞こえるラヴソングが、妙にくすぐったい。
恋人達が笑いあう声のさざなみ、柔らかく甘い香水のそよ風、ショウウインドウの中の少女が優しく微笑みかける。
不意に響いた軽快な電子音に、跳ね上がる僕の心。
聞きなれたクリスマスソング。
胸を高鳴らせながら鞄を探る。
不意に鳴り止むメロディ、目の前の少女が微笑む。
「もしもし?……ううん、今来たところよ」
なんとなく行き場を無くした手を、のろのろと降ろし、溜息を一つ。

待ち人はまだ、来ない。

 

雪のように白い息が、憂鬱な自分の心を映すようだ。
煌びやかなイルミネーションに照らされている、多くの待ち人たち。
華やかに飾り付けられた大きな樹の下で、ただただ愛しい人を待つ。
不意に鳴り響くホーリーベル。
早く気づいてほしいと言わんばかりに鞄の中で叫び続ける。

今度は間違いではない。
凍えた指先が、喜びで微かに震えた。

「……もしもし?」
いつの間にかイライラさえも吹き飛んでいる。
代わりに溢れ出すのは、愛しい思い。
逢いたくて、逢いたくて、逢いたくて、早く。
『わりー!今どこだ?!』
「天使の樹の下」
溜息と共に僅かに含める、言葉の棘。
逢いたい気持ちを悟られないように。
『待ち合わせ、7時だっけ?』
「……6時半」
『すまん!道が混んじまってて!』

優しく、柔らかに降り出した、白い雪。
限りなく天が近くに感じる。
待ち人たちは、祈りにも似た気持ちで、自らの天使を待つ。
「ね、ディーノ。僕、さっき男の人に声かけられたよ」
淋しさを紛らわす、悪魔の誘惑か。
耳元にささやかれた、誘惑の響き。
『……なにっ?!』
「早く来ないと、ついて行っちゃうぞ」

小高い丘に沢山の待ち人たち。
一人、また一人と愛しい者との再会を果たし、輝く笑顔を樹の下へ残し去っていく。
その笑顔はイルミネーションよりも煌いていた。
「……本当に、ついていけば良かった……」

「よ、そこのかわい子ちゃん!」
不意に降り注ぐ、愛しい声。
「悪かった、遅れて」
一瞬遅れて振り返った先には屈託のない、笑顔。
僕の大好きなディーノ。
思わず零れそうになる笑顔を押し殺し、待たせた嫌味を一つばかり。
「何だよかわい子ちゃんて。オヤジめ」
「なっ……!」
あわてるディーの顔を見る。
ああ、やっぱりだめだ、我慢できない。

「……今日は目いっぱい我侭きいてくれなきゃ、許してあげないからね!」
するりと腕を絡ませ、ディーノの端整な顔を上目遣いに仰ぎ見る。
視線がぶつかると、大好きなディーノの笑顔がふわりと広がった。
「……ああ、任せとけ!」
待ち人たちの間をすり抜け、階段を駆け上がる。

煌くイルミネーションよりも輝くのは、唯一つ、君の笑顔だけ。

END

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