Don’t you cry, hush baby… |
8 years ago 「身体中の感覚が未だにおかしい……」 はそう言って左肩を軽く回すと、夜空を見上げた。 あの日と同じ、上限の月が燦然と夜空に輝いている。 涼しげな風がふわりとの髪を揺らした。 「フン……わざわざオレが手をかけてお前を探してやったんだ、文句言える立場じゃねぇだろ」 「は、よく言う。オレがいなくて寂しくて泣いてたんだろ」 「テメェ、殺すぞ」 「っははは」 8年前の事件は「ゆりかご」と呼ばれるようになっていた。 ザンザスのクーデターは超極秘で処理をされ、極僅かの者しかその事実を知らされていない。 9代目によって眠らされたザンザスは、厳重にファミリーによって監視さることとなった。 それと同時に、もまた同様に、別の監視下に置かれていた。 の処分について、この事実を知りえたファミリーの一部の学者からはその類まれなる頭脳と身体能力について、実験体としてその身体を使用することを望む声もあったが、9代目はこれを完全に拒否した。 そして、9代目勅命によってザンザスとは違う別の機関にて極秘で保護されることとなったのである。 それを破ったのはスクアーロを中心とするヴァリアーのメンバーであった。 極秘で計画を練り、ザンザスを救出する作戦を決行したのだ。 「しっかし……スクアーロがもっとシャキシャキ動いてれば、オレたちの復活ももう少し早かったかもしれねーな」 「ふん。あいつは元々カスだからな、暗号なんかそう簡単に解けやしねぇ」 「違いないな」 そういっては笑う。 「ゆりかご」の後、スクアーロ宛てに1通の手紙が届いた。 そこには一見何の変哲もない内容であったが、しかしザンザスがもし9代目によって眠らされた場合においての対処法が暗号形式で書かれていた。 出したのは勿論。 その手紙にはボンゴレリングを集める事。 それでザンザスを開放する事など、事細かな指示があった。 ザンザスの言うとおり、それは難解な暗号であり以外がそう簡単に解けるものではなかった。 しかし、それすらもの狙い通りではあったのだ。 ほとぼりが冷める頃……その時期に不意打ちが出来るようにタイミングを計った。 結果として、今二人は無事に地に足をつけている。 たった一つ誤算があるとすれば、それは今ここに生きて自分がザンザスの隣にいることだった。 「なぁ、ザンザス」 「あぁ?」 「生きていて……良かった」 「……フン」 ザンザスは口をつぐむと、の端正な横顔を見つめた。 「今度は……しくじるんじゃねぇぞ」 「ああ。オレの使命はお前を10代目にすることだ」 「ハッ!違うだろうが」 突然のザンザスの言葉に、は眉を顰めた。 「何がだ」 「いいか、よく聞けカス。お前の使命はオレを10代目にすることじゃねぇ。10代目になったオレの補佐をすることだ」 「……」 「だから、オレより先にくたばるんじゃねぇぞ」 「……それじゃ本末転倒だろう」 「うるせぇ」 ザンザスはその口角を上げると、低い笑い声を上げた。 「今度こそ……俺は総てを手に入れてやる」 「あぁ、地獄まででも……付いていってやるよ」 は僅かに微笑むとその背中に小さく呟いた。 END あとがき リボーンXANXUS編、一応の完結でございます。 ここまでお付き合いくださりまことにありがとうございました<(_ _)> この話を考えた時点で、友人水月ちゃんに「それ、5話で終わるん?」と突っ込まれたことは記憶に新しいです。 終わらなかったYO!水月ちゃん(笑)。 それでも、なるべく他キャラと絡まない所は端折って端折ってなんとかこの長さに収めました。(予想以上に家光が出張ってきたしな) 他にもXANXUS編を書くにあたって、いくつか考えた点がありました。 例えばエンディングを悲恋にするか、否か。 XANXUSは原作が原作なだけに、どうしてもハッピーエンドにもっていき辛い。 しかし涼澤は基本悲恋は好きではないので、あえて余韻を残す感じでエンディングとさせていただきました。 今後、XANXUS編は同一主人公で短編でも書けたらいいなと思います。 さて、次回からはいよいよ本命山本編・骸編を書いていきたいと思います。 一応山本編ではボンゴレファミリーなんかもちょこちょこだしていけたらいいなと思っております。 またあなたにお会いできることを楽しみにお待ちしております。 総ての読者様に愛を込めて…… 朝比奈歩 |
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