桜より…… | 山本祭 第一弾 |
「へぇ!まさかイタリアで桜を見るとはな」 いたく嬉しそうに、そう言って武は笑った。 「桜は日本の物っていうイメージが強いけど、日本以外でも割と見られるんだぜ」 武の嬉しそうな横顔を見ながら、もつられた様に微笑む。 日本以外にも、有名なワシントンの桜並木を筆頭に桜の名所は少なくない。 は武の横顔から視線を外し、甘く芳しい香りを放つ優美な桜を見つめた。 視界の先には一面の桃色。 北イタリアのとある町にある広いさくらんぼ畑は、淡く美しい色の桜が咲き誇っていた。 柔らかな風が木々を揺らすと、さらさらと花びらが舞う。 ヴィニョーラでは、4月に桜の花祭り、そして6月にはさくらんぼ祭りが開催されているほど、地元では有名な場所である。 ボンゴレ本部からは近いとは言いがたいが、日本よりは遠くない。 は日本の桜が懐かしくなると、時折ここへ足を運んだ。 「お前が見せたいものって、コレだったのか」 照れたように、それでも嬉しそうに武はそういう。 「ああ。流石に他人の畑だからな、食べたり飲んだり大騒ぎは出来ないけど。花見をするには絶景だろ?酔っ払いオヤジもいないしな」 はらはらと、桜の花びらが舞い落ちる。 風に乗って、ふわりと踊るように舞うそれがひとひらの髪に翼を休めた。 「ん、確かに絶景なのな」 武はの髪の上の花びらを摘んで、再び風に乗せる。 「桜までお前の魅力に誘われてきた。確かに綺麗だけど、の一番近くはオレの場所だからな」 「おい、桜にまでヤキモチか?」 「ははっ。オレは『花より』だからなー」 「……ったく。まあ、オレも人のこと言えないか」 溜息と共にこぼれるのは、満面の笑み。 「ん、何?花より武?」 「いや、団子より武」 「……それ、オレを食いたいって事?」 「馬鹿」 クスクスと笑いながら、交わされるキス。 ザア、と一瞬の凪。 景色が一面桜色に染まる。 ――来年もまた、二人で桜を見よう。 |
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* * * * * * * * * * 山本誕生月による、山本祭第一弾夢小説。 短いですが、楽しんでいただければ幸いです。 出来る限り山本関係のものをUPしていきますので、よろしくお付き合いの程お願いします。 つーか、まあ、ぶっちゃけ自家発電小説です。 |
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