CLEAR!

空高くボールが舞い上がる。
それは太陽に吸い込まれるように天に上り、日の光をバックにして落下してきた。
俺たちは我先へとボールに群がり、押し合い、取り合いをしながら相手の陣地へと向かう。
相手MFのパス。
これが通れば得点に繋がってしまう。
俺は一気にグラウンドを駈けそのパスをインサイドでカットすると、攻めてくるFWを交わして切り返しのロングパス。
まるで吸い付くかのように、それは仲間の足元へと跳ねる。
へへ、我ながらナイスパスだね。
英士にだって負けないんじゃない?
パスが来てない時だって、俺達の仕事は休めない。
いつだって最良のポジショニングをしておかなければ、止められるものも止められない。
バックのミスは、チームの命取りになる。
俺はボールと仲間の位置を確認しながら、徐々に間合いを詰める。
試合時間は残り1分。
現在得点は1対0。
気は抜かない。
ここで点を入れられてしまえば同点。
ドーハの悲劇は一度で沢山だ。
負けたくないし。
負けられないし。
カッコ悪いトコ見せたくないし。
カッコ良いトコ見せたいし。
……あ、最後の動機は不純かな?

* * * * *

『ピピー!』
試合終了のホイッスルがなる。
結局。
俺のラストパスが功を奏し、我が赤組はロスタイムに2点目を挙げて試合終了。
我がライバル一馬と英士を敵に回して、見事に勝ち星を挙げた。
ヤッタネ。
俺ってカッコイイじゃん。
「結人!」
名前を呼んだのは
「やったね!」
「あったりまえじゃん!」
勢いよく、両手を合わせる。
綺麗な顔で微笑むお前。
俺、お前のために頑張ったんだけどなぁ。
気が付いてくれてる?
無理だろうなぁ。
お前、鈍いし。
でも、ま。
お前の会心の笑顔見られたし、いっか。
さらさらの髪が風にたなびいて、凄く綺麗。
ホント、って綺麗なんだよな。
別に、女っぽいっていう意味じゃなくて。
あ、でも下手な女の子よりはよっぽど可愛いかも。
でも、そういうのじゃなくて。
言葉にするのって難しいなぁ。
つまり。
俺はの笑顔がすきってことかな。
優しくて、心地よくて、気持ちがいい。
でも、きっとそう思ってるのは俺だけじゃないんだろうなぁ。
でもさ。
ラストパスを出したのは、俺で。
ラストパスを決めたのが、お前で。
なぁ、俺たち相性がいいよ。
そう思わない?
「オツカレ」
そういってお前は俺にドリンクを差し出して。
くーっ、お前ってイイヤツ。
「サンキュー」
そういって俺はボトルを受け取って。
冷たいドリンクを一口。
「うまい!」
コレコレ。
スポーツの醍醐味はコレですよ!
どんなに疲れてても。
この瞬間があれば、それでクリアー。
ドリンクを嬉しそうに飲む俺を、隣で笑ってみてるの顔。
それさえあれば、どんなこともCLEAR。
俺は頑張っていられる。
だからさ。
俺たち……いつまでも一緒でいような。
勿論、一馬と英士も。
4人で。
俺たちがそろえば。
CLEARできないものなんて無んだからさ。

* * * * *

歩:ほのぼのだね……。
涼:ほのぼのだね……。
歩:さっきまでダークな近親相姦物書いてた人と同一人物がかいていたとは思えない軽さだね。
涼:思えないね。
歩:ちなみに、どっちが好きなの?
涼:両方ともね。
歩:聞いた僕が悪かったよ……(怒)
結人:ー!お馬鹿二人は置いておいて、俺のためにまたきてね〜!
歩&涼:あっ!!

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