DRAGON?TIGGER? |
大都会の喧騒の中、龍と虎は互いの自尊心と存在意義を賭け、静かに対峙していた。 交差する視線と視線、気迫と情熱、憎悪と自信。 荒れ狂う思考の海の中、二人は唯静かにたたずんでいた。 眩しいほどの太陽の光が、まるでスポットライトの様に、二人の対決の場を煌々と照らし出している。 ……凍てついた空気が、彼らの間を流れた。 「……やあ、久しぶり。君に会うなんて、もうどれくらい振りかな?」 美しい黒髪を優雅に掻き揚げながら、郭がこの張り詰めた空気を先に破った。 「あはは。二〇〇年振りくらいじゃない? 俺は二〇〇年振りくらいだとしても、郭君になんて会いたくなんて無かったけど。……大体、何で郭君がこんなとこに居るの?」 英士はピクリと神経質そうな眉根を寄せると、不機嫌さを全身に現しながら口の端を吊り上げた。 「……お言葉だけどね、風祭。俺にしてみればお前の方が、何で選抜に残っていられるのかが解からないんだけど?」 そう言われ、将はじろりと憎むべき宿敵、英士の瞳を睨みつける。 ――事の発端は、まったく持って下らないことだった。 手っ取り早く言えば、彼らは彼らのお気に入りの人物に、何かといえばまとわりつく相手が気に入らない、というだけなのだ。 英士は何かといえば「の親友兼兄役」という権力を笠に着、良きお兄さんぶりを発揮しながらの傍を離れようとしない。 将といえば、とにかく「僕、サッカーうまくなりたいんだ、君教えて!」光線を振りまき、練習好きの性格を武器にに纏わりついて離れなかった。 そんなお互いが、お互いを気に入らないのは至極当然のことで。 彼らは日夜(とその他のメンバー)の迷惑も考えず火花を散らしていた。 その他の狙いのメンバーといえば…… 「……あんな奇抜な奴らの間に入ったら、自分自身が壊れちまうだろ……。なんとか奪回策を練らないとな」 と熱心に卑怯技を開発中なのは桜庭。 「……おい、何かいい考えねぇのかよ?桜庭」 と奪回策を桜庭任せにして、自分は鳶に油揚げを狙う木田。 「……俺はチームの守護神だからね、隙を見てを守らないと!」 と風祭張りの爽やかな笑顔で、さらりと渋沢を無視した小堤。 「割って入って自分が痛い目をするのは嫌だし……まずは隙をつくらないとね」 と、恵比須顔でチーム1華麗な奪取劇企んでいる杉原。 「………ふ」 と、なんだかわからないが、なんだかよからぬことを考えていそうなのは間宮。 ……と、反応は様々であるが、誰もが遠巻きであることは否めない。 もっとも、そこで引き下がろうな度と考えている殊勝なメンバーは誰一人としていないのであったが……。 ふわり、と柔らかな風が、将の黒髪を揺らす。 「俺の何処が、ここに居ちゃおかしいっていうの?」 「解からないの?」 「あはは、解からないなぁ。思い当たるフシが無いから」 笑顔で、さらりと将が答える。 英士は一瞬不快気な表情をすると、ポケットから手を出し、首に掛けていたヘッドフォンを耳にかける。 今の雰囲気とは似ても似つかないような静かなクラシックが、英士の耳元で流れはじめた。 「お前みたいな子供が、ここに居るってことがおかしいって言ってるんでしょ。解らないの?」 「何言ってるのかな、同じ歳の癖にさ」 「精紳年齢の話だよ。あ、身長もそうかもね?」 「……っ!」 ぴくり、と将の片眉がつり上がる。 「それなら言わせてもらえばさ、 メンバーの間で「黒王子」呼ばわりされて喜んでるようなヤツに、サッカーなんか似合わないと思うな、俺」 「何言ってるの。 キミだって「さわやかチビ」呼ばわりされてるじゃないか」 「そんなこといわれて喜ぶ人っていないと思うけどな」 つり上がる眉をピクリとさせながら風祭が応戦する。 「俺だって喜んでるんじゃないよ。俺は俺に対する誉め言葉を、当然の事実として受け取っているだけだからね」 『黒王子』という言葉が果たして褒め言葉なのかどうかという審議は後に回すとして、龍と虎……いや、犬猿の仲である猿と犬は、額を引っ付き合わせると、今にも飛び掛りそうになるのを周りが必死に押さえる。 「郭と風祭が暴れ出したぞ!」 「取り押さえろ!」 「誰か呼んで来い!!」 「誰がチビだ! 訂正しろ!」 「俺は正当な事を言っただけでしょ!」 「誰か早く押さえろ――――!」 * * * * * 「ちょ、ちょっと二人ともー!何してるの?!」 「!」 「君!」 メンバーから緊急招集がかかったは、少々面食らいながら、取り押さえられている二人に近づく。 「二人とも、今からチームのミーティングじゃなかった?」 「あ、ああ……そうだね。彼のせいで遅れるところだったよ」 英士は将につかまれているシャツを振りほどくと、まるで何事もなかったかのようにを振り仰いだ。 ……が、その額に降りかかる乱れた髪からは、乱闘の跡がありありと伺えた。 「俺せい?嫌だなぁ、違うでしょ?何言ってるのさ、郭君てば面白いんだから」 振りほどかれた腕をさすりながら、さわやかさ全快の笑顔で将がを振り返る。 ……しかし、そんな彼の頬に伝う汗が乱闘の激しさを物語っていた。 「ああ、続きは後で聞くから。さあ、早く行こうよ。ね?」 はほんの少し後じさりながらも、健気にも自分に与えられた使命を遂行しようとする。 「そうだね!くん、行こっ♪」 言うが早いか、将はの腕をするりと掴むと、スキップでも踏むかのように歩き出した。 無邪気な顔の下に潜む兇気を、メンバーは見逃さなかった。 「あっ……!待て風祭っ!」 慌てて後を追う英士。 突然の台風一過に声が出ないメンバーたち。 「何してるの、みんな!早くしないと罰があるわよ!」 玲の一声で、後に残されたメンバーにどっと疲れがやってきたことを……未だ二人は知らない。 * * * * * 涼:すいません……なんだかまとまりがなくなりました(爆)。 歩:……これ、リクエストの「黒英士VS黒将」なのかな……ただのギャグじゃ……。 涼:これ以上の力量は涼澤にはないっス。 歩:名前変換少ないし。 涼:ヘイ、少年!細かいことグチグチ言ってると将来ハゲるわよっ!!(酷)。 歩:(頭を押さえながら)この管理人最低だ〜〜(泣)。 将(黒):さん!読んでくれてありがとうね!それから汐音嬢、リクエストありがとう♪それからソコの二人とも?じゃまだからアッチ行ってて! 涼:余談だけど……原作、最近どこもかしこも翼×将に見えるのは……私だけでしょうか?どうなのよ、樋口せんせぇ〜。 |
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