天使の微笑み |
まったく、腹が立つったらないね。 だいたいさ、皆単純すぎるんだよ、そもそも。 今時、小学生でもやらないぜ、席取りジャンケンなんてさ。 はっきり言って、単細胞。 小学生並。 お馬鹿ばっかり。 でもさ。 しょうがないだろ、参加しないとの隣に座れないってんだから。 我ながらどうかしてるって思うよ、実際。 何だかんだいいながらしっかり参加してるわけだし。 解ってるから余計に腹が立つ。 カルシウムが不足してるかもね。 しかも。 更に悪いことに、さ。 参加するからにはやっぱり勝利者にならなきゃ意味がないのに。 俺はしっかり決勝で負けちゃって。 あーあ、バカみたい。 と、いうよりバカだよね。 アイツはアイツで「普段の善行の賜物だな」なんて言い出すしさ。 ふざけるなって言ってやりたかったね。 普段の善行だったら、文句なく俺が勝つはずだろ。 まったく、いまから一時間半も何してろって言うのさ? あー、寝よ寝よ。 * * * * * 「後10分ほどで到着よ。そろそろ荷物をまとめておいてね」 遠くでそういう玲の声が聞こえた。 俺はその辺の奴らとは精神構造が違うから、寝ようと思ったときにはすぐ寝られるし、起きようと思えばいつでも起きられる。 「……ふわぁ……」 俺はあくびを一つすると、彼……の方をチラリと窺った。 は必死な顔で眠ってしまっている渋沢を起こしているようだ。 ……だっさ! 渋沢の奴、ずっと眠りこけてたってわけ? せっかく隣をゲットしておいてバカな奴。 あーあ、それにしてもの奴必死になっちゃってさ。 ……さっきまでどこかにもたれて眠っていたんだろうね、軽く寝癖がついてる。 かわいーの。 それにしても渋沢の奴、デレデレしちゃって情けないね。 ……あーヤダヤダ、これってもしかしてヒガミ? 一番ダサいのは俺……? うわ、サイテー。 なに、言ってんだろうね……俺。 * * * * * 「翼くん!」 俺がバスを降りて歩き出した瞬間、不意に声がかかる。 聞き覚えのある……というか忘れられない声が、俺の耳を突いた。 「……?」 そう、だ。 間違いはない。 俺は一瞬起こしかけた眩暈に必死で耐えながら、にっこりと笑いかけるの瞳を見つめた。 「どうしたのさ?の家の方はこっちじゃないだろ?」 「うん、そうだけど。でも今日はこっちの方のスポーツ用品店に用があるから。翼君も新しい家こっちだったでしょ?一緒に帰ろ!」 にっこりと、が答える。 とは今の飛葉中学区に越してくる前に住んでいた場所で通っていた、空手の道場で知り合った。 俺たちはお互いに一般的に言う「綺麗」といわれる外見をしているから、結構そのことで苛められた。 嫌になるよね、自分のコンプレックスを他人を卑下することによって補おうとするなんてさ。 ま、悔しいけど、フィジカル面だけはどうしようもないし、技だけは身に付けておきたくてさ、空手を習おうと思ったんだ。 まぁ、もっとも苛められただけで済ましていた俺じゃあないけど……俺たちにはそんな共通点も会ったし、ちょうど入ったのも同じくらいの時期で、自然とお互いに仲良くなったのを覚えている。 まぁ・・・・・・がなんで空手を始めてかはよくわかってないんだけどさ、本当は。 最初は俺たちのことを「かわいこちゃん」などとバカにしていた奴らも、習い始めて1年が過ぎた頃からの俺たちの上達振りに舌を巻いた。 習い始めて3年後には元々の才能も手伝って、道場に通う誰よりも強くなった。 始めた頃はお互いに低かった身長も、いつも間にかに追い越された。 俺の方が年上なのに、悔しいったらないね。 他の奴になら、別に身長以外で勝てるところがいっぱいあるし、別段腹立たしいことはないんだ。 でも・・・・・・くそ、人生ってうまくはいかないな。 はぁ、俺にこんなこと思わせるのなんかお前くらいのものなんだよ?。 ・・・・・・気が付いてなんて、いないだろうけどね。 「そういえばさ、お前夏に骨折してただろ」 「え?ああ・・・・・・腕のこと?」 俺の言葉に、は苦笑しながら左腕を見つめた。 「空手やってるくせに、受身も取れないってどういうことだよ?基礎からやり直した方がいいんじゃない?」 苦笑しているに、俺は更に言葉を放り投げる。 「うわー、いたた・・・・・・。相変わらず鋭いね」 は大して気にとめた様子もなく、笑い返した。 「確かに、あれは自分でも情けないと思うよ」 「情けなさ過ぎ」 「翼君〜〜」 泣きまねをしながら、が笑った。 「心配するんだからさ」 「え?」 あーもう、一度で聞けよな、バカ。 「だから、心配させるなっていってんの」 なるべく、そっけなく。 「あー、選抜出られなくなるかと思ったし、僕」 「そうじゃなくて」 鈍いね、本当に。 アタマ痛くなってくる。 ホント俺、人がいい。 「・・・・・・?」 「身体。俺に鍛えられたくせに、そんなにヤワなのは許しがたいね」 俺の目線よりより少しだけ高いお前の目線。 「今回のはいい機会だからさ、またしっかり鍛えなおしてやるよ」 だからもう少し待ってろよ。 俺がお前の身長に届くまで。 お前を追い越すまで。 だから。 それまで誰にもとられるんじゃないぞ。 お前は俺のかわいい・・・・・・弟なんだから。 * * * * * 涼:お待たせしました、翼編です・・・・・・。 歩:待たせ過ぎだよ(怒)。どれだけ間が空いたと思ってるの?! 涼:平にごめんなさい(謝)。平にごめんなさい・・・・・・。原稿が・・・・・・原稿がいけないのよ! 歩:・・・・・・その原稿も仕上がったのがギリギリだったらしいじゃない? 涼:ギリギリなんてものじゃないよ、家にヤ●ト便呼んだもんね、今回。 歩:コイツ最低だ・・・・・・。 涼:まだリクエストは3本残っているので、今から超特急で頑張ります。しかもその合間に修士論文の研究もやらないとね・・・・・・(爆)。 歩:合間って・・・・・・。それが本文でしょ!? 涼:はは・・・それじゃさらば!(逃)! 歩:あ・・・・・・!ちょっと!ああもう! あ、ここまで読んでくださった皆さんありがとう!リクエストしてくださった空璃しおんさんありがとうございました! 追伸:無事修士論文は提出、口頭試問も終了いたしました。 |
ブラウザのバックでお戻りください。